『つばさの冬休み』を終えて 

学習支援、その中でも特に中3受験生に的を絞った保養プログラムの実施は最初からハードルの高いものでした。
福島仕様の受験勉強という特殊な技術が要求されましたし、思春期の微妙な年ごろのこども達を県内各地から募集した寄せ集め集団ではたして上手くいくかどうか。そんな不安からスタートした三週間の夏を経て、ひとつの大きな手応えを掴んだわたし達は、この冬の継続的な取り組みにチャレンジしました。
夏と冬、その前代未聞な課題に対して勇気をもって一緒に取り組んで下さった学習塾スコーレユウの皆さんに対してあらためて深く感謝を申し上げます。

むすびばは2011年に起きた未曾有の大震災と原発事故以降、被災された方達への支援活動を市民の手で行う中、相談を受けたことに対しては基本的に「どのように動いたらその問題が解決するのだろう」と常に解決への道を模索し、切り開くことに力を注いできました。

「出来ない」と言うことは簡単ですが、「出来ないと思われるようなことを工夫し、出来るように創造していくことが支援活動であり、それによって社会が変わり、弱い立場の人が救われる」。
そう信じて努力することがむすびばの支援活動スタイルですし、つばさの誕生も正にそういう流れの中ではじまりました。

北海道はおおらかに人を受け入れられる自然の力がありますし、避難して来られた方達とこれからは一緒に町づくりを考えていく時期に入っていくと思います。その一方で被災地に暮らし続ける方達への相談の窓口はいつも開いておきたいですし、特にこども達にはもっともっと保養を前提とした交流が補償出来るような仕組みを市民の力で作っていきたいと願っています。

「つばさの冬休み」最終日の朝は真っ白な雪景色となりました。
その雪景色の中で無邪気に雪玉を投げ合う少年達を見ながら、こども達から今生きているこの輝きを奪ってはならないとしみじみそう感じました。

こども達の輝きが大人の心に跳ね返るとき、大人はなんと豊かな気持ちになれるのだろう。つばさに関わった大人達が共通に感じたのはその平和で豊かな感覚でした。それは自分がこどもだった時に感じたことのある幸せの原体験かもしれません。

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「これから札幌に帰り、僕は自分の塾生たちに福島のこどもたちを愛したことを教えなければならないと思っています。君達に魅力があったので、こうして山形まで来てしまった訳です。いいかい、何でも相談にのるから困ったら連絡をください」。
スコーレユウの塾長でつばさの相談役でもある金興一さんが最後に語った言葉は、つばさに関わった全ての大人たちの気持ちを代弁していました。

夏休みに出会った中学3年生達は、四ヶ月を経て逞しく成長しながら真っ直ぐな眼差しで大人たちを見つめていました。この眼差しの向こうにある未来がしっかりと広がることを、聖夜に願いを込めて祈ります。

そのために大人たちは百万倍の努力をしなければならないことも、放射能汚染という問題に真っ向から闘うことも心に秘めながら・・・
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[撮影記録:工藤 了]

この事業を実施するために多くの方達にご協力をいただきました。
特にスタッフとして関わっていただいた方達には大変なご尽力をいただきました。こども達の笑顔は全てみなさまの愛情のお陰様です。
学習支援という大きなテーマは今後の支援活動に色々な形で反映させていきたい課題です。この課題を見つめることで日本全体のこども達の状況も見えてくるでしょうし、学校や教育というものを基本的に見つめ直す機会にもなっていくのだと思います。また被災地の現場で苦労されている教師の方達との連携も求められています。全てはこれからの創造的な努力にかかっています。
今回ご縁をいただいた方達とは、今後とも色々な場面でお互いに支え合い力を出し合う関係でありたいと願っております。
本当にありがとうございました。

むすびば共同代表 みかみめぐる